
いつも芝浦スタジオをご利用いただき、誠にありがとうございます。
今回のブログでは、今春3ヶ月間に渡って行われた、芝浦スタジオ5階の改修工事における「防音強化」に関するレポートをご紹介します!
このブログは約3分で読む事ができます。
(1) 改修工事の背景:時代と音響システムの進化への対応
近年、特に顕著であったのが、現代の楽曲に対してサブウーファーが発する40Hzから63Hz帯域の低音成分が以前に比べて強く響く傾向が見られました。
隣接するスタジオに影響が生じる時があった為、この課題を解決すべく調査を行い、改修工事を行うことを決定しました。
(2)浮き床構造の刷新
今回の改修工事における主要な変更点は、「浮き床」構造の刷新と、スタジオ間固定壁の強化です。
『見た目は変わらずとも、プロは必ず音でわかる。』
『改修と思わず、スタジオを作り直すぐらいの気持ちで。』
という強い方針のもと、構造上の限界まで挑んだ大規模な工事になりました!

🛠️ 防音強化のポイント
「鉄骨下地方式のコンクリート浮床構造」に刷新!
これまで501stに採用されていた浮き床は「グラスウール敷きコンクリート浮床」といって、オープン当時は主流な防音手段でしたが、近年のサブウーファーの特性と相まって、低音の音漏れに繋がる原因の一つとなっていました。
新たに採用したのは「鉄骨下地方式のコンクリート浮床構造」という工法。防振ゴムを支持材として、従来よりも重量と剛性を高めた構造です。
この変更により、既存の共振帯域を回避し、20Hz以上の周波数帯域で振動がなだらかに減衰する理想的な防振特性を実現することができました!

スタジオ間ブロック壁の強化スタジオ間の壁体も強化!
そして、501スタジオの既存の浮遮音壁の裏側には重量ブロック壁を新設し、スタジオ間の固定遮音壁を二重構造といたしました。
これにより壁体の質量が増加し、空気音の遮音性能が向上しています。
(3) 気になる改修の効果は?


測定結果は・・・『大成功!』
遮音性能の劇的な向上が見られました。
改修工事後の報告会にて、測定されたデータを元にその変化に驚きました。
改修前D-60 → 改修後D-70~D-75へと向上!
音響専門家も注目する2~3ランクに相当する大幅な改善です。
改修前D-80~D-85 → 改修後 D-85~D-90へと向上!
1ランクの改善が確認されました。
音圧レベルに換算すると、2~3ランク相当まで改善されました。
※125Hz以上の帯域についても、期待以上の遮音性が保たれている事を確認できました。
聴感上の印象も大きく変わりました。
改修前、楽曲によってはサブウーファーの低音が部屋中に充満し、壁全体から音が鳴っているように感じたものが、改修後は低音域が明らかに小さくなり、通常の空気音の透過のように感じられるようになりました。
ここまで大幅に改善したのは、単に壁の質量を増しただけでなく、浮き床構造の変更による防振特性の改善効果が極めて大きかったようです!
(4) 電気効率の向上

電圧の安定性が向上し、電圧降下(ドロップ)が起こりにくくなったことはもちろん、
(5) 担当業者様のご紹介
日本音響エンジニアリング株式会社の皆様にご担当いただきました。

(左から) 音空間事業本部 葛西 信輔氏 / 後藤 宏明氏 / 福満 英章氏 / 出口 公彦氏
社長より「一流が使うスタジオなのだから、音響設計も一流を集めよう!」の掛け声から、
このメンバーを選び、今回の改修に臨みました。
本プロジェクトの設計を主導された音空間事業本部シニアエンジニアの福満様とアドバイザーの出口様は、この分野で約45年にわたる豊富な経験をお持ちのベテランエンジニア。
スタジオの防音設計について、かつては「NHK仕様」と呼ばれる厳格な基準に則ったスタジオ設計が主流でしたが、時代とともに音楽のジャンルや用途が多様化し、どこにコストをかけて最適化するかという柔軟な設計が求められるようになってきたとの事。
また、リハーサル、レコーディング、映像、配信など、スタジオの種類によってもそれぞれ求められる音響性能が異なるというお話を伺い、すべてのカテゴリーに対応するには相当なご苦労があり、長年の経験と知識が不可欠であろうと感じました。
今回の工事においては、建物の構造的な制約がある中で、重量、コスト、および工期とのバランスを考慮しつつ、最大限の遮音性能を引き出すという、極めて難易度の高いプロジェクトを成功に導いて下さいました!
以上、今回のブログは「改修工事の裏側」に迫った長編となりましたが、いかがでしたか?
今回の改修で見えない部分にこそ、専門家の知恵と技術が詰まっている事を改めて教えてくれました。
今後も芝浦スタジオは皆様の本番に向けたリハーサルを最高の環境でサポートできるよう、さらなる進化を目指してまいります!